WALKING THE BLUES (Candid) |
| - Otis Spann |
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Otis Spann (p,vo) Robert Lockwood Jr. (g,vo) St.Louis Jimmy (James Oden) #3,5,8 (vo) 1963/08/23 |
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調律が微妙に外れたピアノをかき鳴らす。 いや、調律が微妙に外れているからこそ、多くの音をいっせいにかき鳴らさざるを得ない。 おそらく、ブギウギ・ピアノのスタイルが生まれた背景には、調律がズレまくったオンボロなピアノがあったと言われている。 オンボロでガタがきているピアノを、「悪いけどな、もうひと働きしてくれよな」といわんばかりに、老骨にムチうつブギウギ・ピアニスト。 メンフィス・スリムのように粋に鍵盤をこねくり回すピアニストもいれば、オーティス・スパンのように勢いよく鍵盤に指を叩きつけるピアニストもいる。 滑らかなスリムと、カクカクとした無骨なスパン。 スリムにはカクテルが似合うが、オーティス・スパンのピアノはどう考えても度数の高い原酒だ。 しかしスパンのピアノは、打鍵のアタックが強く、メロディ楽器としてではなく完全にピアノを打楽器として扱っている。 しかし、いたるところに粋な小回りのよさも効かせる。 そのあたりが、彼の魅力であり、一度虜になった人間は二度と離さない強引さでもある。 このアルバムは、奄美大島の「サウンズパル」にて、音のソムリエ・高良さんに勧められるままに購入した。 しかし島から帰ってからは、しばらく聴くのことを忘れていた。 何ヶ月かぶりに「そういえばブルースのCDも買ったんだよな」と思いだし再生してみると、こりゃビックリ仰天! 最初は、とにかくピアノの音のインパクト! このアタックの強さは何事か! しかし、よく聴くと単に乱暴なピアニストではないこともすぐに分かる。 語弊あるかもしれないが、すっげぇ洒落てるのよ。 ダンディなんだよ、このピアノ。 メンフィス出身の田舎臭さを漂わせながらも、じつは彼なりの無骨なダンディズムに貫かれているのだ。 一聴、泥臭いピアノに感じるのもつかの間、この異常な粒の揃いかた、軽やかな指捌き。 こいつは、田舎モンを装った都会モンだ。 円やかにシャウトするオーティス・スパンの声も、耳障りに感じる瞬間がまったくない。 3曲だけ参加しているセント・ルイス・ジミー(ジェームズ・オーデン)のヴォーカルも渋みよりも苦味が先走る大人の味わい。 曲によっては、絶妙にからむギターの絡みも素晴らしい。 ギターの主は、名手ロバート・ロックウッドJr.。悪かろうはずがない。 特に《イーヴル・ウェイズ》の絶妙なコクを生み出すピアノとロックウッドの絡み、そしてロックウッドJr.のギターソロを聴いてしまうともう大変、昼から「もう仕事やめ、やめ! バーボン飲みてぇ!」な状態になってしまう。 これは、なかなか。 本当に、なかなか。 バーボンなくとも、この棒を切った無骨な味わいは、まさに熟成されたバーボンの味わいそのもの。はじめの口当たりは多少キツくとも、2杯、3杯と飲み進むうちに、じわじわと甘みが増してくる。 ブルース・ピアノに興味のある人は、最初の1枚にオーティス・スパン、いかがだろう? ※このアルバムをお求めの際は、ショップ店頭ではジャズコーナーではなく、ブルースコーナーをお探しください。 |
| (2008/12/04) |
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