SECRET STORY (Geffen) |
| - Pat Metheny |
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Pat Metheny (g,el-g,p,syn,key,el-b,per) Michael Mossman (tp) Mike Metheny (tp) Ryan Kisor (tp) Tom Malone (tb) John Clark (frh) Dave Taylor (btb) Dave Bargeron (tb,tuba) Andy Findon (fl) Toots Thielemans (hca) Lyle Mays (p) Gil Goldstein (accordion) Skaila Kanga (harp) Charlie Haden (b) Steve Rodby (b) Will Lee (el-b) Anthony Jackson (el-b) Steve Ferrone (ds) Paul Wertico (ds) Sammy Merendino (ds) Dunny Gottlieb (cymbal roll) Nana Vasconcelos (per) Armando Marcal (per) Mark Ledford (vo,voice) Akiko Yano (voice,lyrics) members of the London Orchestra conducted by Jeremy Lubbock members of the Pinpeat Orchestra of the Royal Ballet and the Choir of the Cambodian Royal Palace (voice) Recorded Fall-Winter 1991-92 at Power Station,NYC |
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じつは、私はパット・メセニーのギターの音色があまり好きではなかった。 腰とアタックのないホニョホニョとした弦の音色が猫なで声のようだ。そのせいかフレーズがしっかりと頭の中に入ってこない演奏が多い。 音にガッツが感じられないからかもしれない。 たしかに暖かみと、丸みのある爽やかなギターは、耳の“表面”には心地良いかもしれないが、“内面”にまではズッシリと入ってこないものが多い。
そりゃぁ、ゲイリー・バートンの紹介で、18歳という若さでバークリー音楽院の講師になったという凄い前歴もあるぐらいだから、彼のギターの腕前は相当なものなのだろう。
メセニーのファンは言う。
うん、私、タコです(笑)。
ところが、そんなメセニーに対して複雑な思いを抱いている私でも『シークレット・ストーリー』は大好き。
これはもうメセニーの音色云々、ギターのプレイが云々といった“楽器単体”の好みを超えた、一つの“ミュージック”として、壮大な完成度とドラマを有している音世界なのだ。
この作品に全精力を注ぎ込むために、6ヶ月間仕事をキャンセルして、スタジオにこもって練り上げたとのだという。
冒頭のカンボジアの子供たちのコーラスから、一気に“世界”に引き込まれてしまう(ちなみに、このコーラスはサンプリングしたものを繋ぎ合わせて編集したもの)。 《ファインディング・アンド・ビリーヴィング》の変拍子(7/8拍子)に乗ったインディアン・チャントも素晴らしく、この二曲だけでも民俗音楽好きな人は、「おっ!」と身を乗り出すのではないだろうか?
これらエスニックな要素が、メセニーの個性と何の違和感も無く見事に溶け合っているのだ。
個性的なミュージシャンに、オーケストラ、民俗音楽のコーラスなどなど、様々な要素を混沌と詰め込んだごった煮の世界なのに、この作品は、なんとピュアで澄んだサウンドなのだろう。
実は、私がこのアルバムを好きになったのは、今は無き、渋谷にあったジャズ喫茶「スイング」のお陰だといえる。
今から10年近く前の話だ。
軽やかな口調で、「よぉ、今(店を)開けるからな。ちょっと待っててな。」
この時間帯に店に来る客はほとんどいないので、開店直後の「スイング」は私の独占状態。他の客の目を意識することなく、気軽に観たい映像をリクエストできたため、随分とここでジャズを楽しませてもらったし、勉強もさせてもらった。
昼のちょうど良い時間帯なだけあって、私は『シークレット・ストーリー』のサウンドのシャワーを浴びながらコックリと昼寝をするのが常だった。 だから、結局、いつでも飢餓状態に陥ったときに鑑賞できるために、LDとCDの両方を揃えるはめになってしまった。
時おり思い出したように聴くと、やはり良いんだなぁ。
実はこの原稿を書く際、パーソネルが多いため、一度に書き写すのが面倒だったので、数日かけてキーボードを打っていたのだが、その間はずっと『シークレット・ストーリー』をかけっぱなしにしていた。
一日に数回リピートして聴いても全然飽きないし、耳に本当に心地よい。
メセニーはエレクトリック・ギターのほかにも、シンセ・ギターやナイロン・ストリングス・ギターなどの様々なタイプのギターを曲によって使い分けているが、その使い分け方が絶妙。
10曲目の《アズ・ア・フラワー・ブロッサムズ》には矢野顕子も参加している。
矢野顕子といえば、本当は彼女は冒頭のカンボジア・コーラスのパートに参加する予定だったらしい。 それにしても、矢野顕子もメセニーも、ほんわかとスケールの大きなミュージシャンですね。
後半の《アントニア》も絶品だし、《ザ・トゥルース・ウィル・オールウェイズ・ビー》も感動的。
全編75分の壮大な作品だ。
だからといって、意気込んで、隅から隅までくまなく聴く必要は無いと思う。
『シークレット・ストーリー』は、とにかく素晴らしい“サウンド”がギッシリと詰まっている、“音の缶詰め”だ。 |
| (2003/04/06) |
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