PUTTIN' IT TOGETHER (Blue Note) |
| - Elvin Jones |
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Joe Farrell (ts,ss,fl) Jimmy Garrison (b) Elvin Jones (ds) 1968/04/08 |
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聴くたびに、かつて上野の仲町通りにあったジャズ喫茶「イトウ」を思いだす。 鼓膜が破れんばかりの大音量。 スピーカーに向かって座るようセッティングされたテーブル。 暗い照明。 目をつぶり、腕組みをしながら神妙に聴き入る客。 それらが醸しだす独特な雰囲気ゆえ、客の全員が年季のはいったベテラン・ジャズマニアに見えてしまい、初心者には敷居の高い店だった。 硬派なジャズ喫茶だったと思う。 最初は入るのが怖かった。 当時の仲町通り全体がそういう雰囲気だったということもあるが、「イトウ」も60年代から時間が止まったような店構えだったのだ。 吉祥寺の「メグ」、渋谷の「スイング」、新潟の「フラッシュ」なども、最初に訪問したときは心臓がドキドキしたが、一度入ってしまえば、二度目はさほど入店するのに抵抗感は無かった。 ところが上野の「イトウ」は、次に訪問するときも心臓がドキドキしたから、やっぱり私にとっては、一番雰囲気が“怖い”ジャズ喫茶だったのかもしれない。 友人と訪問したときのこと。 彼は、よせばいいのに、場の空気を読まずにマッコイ・タイナーの『フライ・ウィズ・ザ・ウインド』をリクエストをしたのだが、店内にストリングスのイントロが流れたときの違和感ったらなかったもんなぁ。 “誰だ、今のアルバムリクエストしたのは!?”と殺気立った空気が一瞬店内に充満して、「うわぁ、やべぇ」と思ったものだ。 このような一件もあり、“硬派で強面なベテランが集うジャズ喫茶”という強い認識が、私の中に形作られてしまった。 だから、リクエストもなるべくしないようにしていた。 そういえば、これなら周囲から顰蹙を買わないだろうと、マイルスの『フォア・アンド・モア』は恐る恐るリクエストしたこともあったっけ。 もちろん、私は50年代、60年代のジャズ喫茶は知らないので、当時の雰囲気はリアルタイムで体験した人の話から想像するしかないのだが、おそらく昔のジャズ喫茶って、どこも「イトウ」のような雰囲気だったのかなぁ、などと思いを巡らせてみたり。 そんな「イトウ」だが、最初に店内に入ったときに流れていたのが、エルヴィン・ジョーンズの『プッティン・イット・トゥゲザー』だった。 スピーカーから、汗も一緒に飛び散ってくるほどの迫力の演奏。 “肉”を感じさせる獰猛なイメージ。 実際、飾ってあるジャケットを見ると、3人ともに汗を飛び散らせながら、それぞれの楽器と格闘しているビジュアルだったので、私の中でのこのアルバムは“肉なアルバム”として位置づけられてしまった。 エネルギッシュ、かつ変幻自在なエルヴィンのドラミングが巨大なうねりのカタマリとなってこちらに襲いかかってくる。 大地を踏み鳴らすかのような、極太のジミー・ギャリソンのベースが空気を震わせる。 ジョー・ファレルのメロディアスで肉厚なテナーサックスが空間を遊舞する。 ピアノレス、ワンホーンのトリオだが、この3人の織り成すサウンドは完全無敵。 これ以上も以下もいらないほどの完成された緊密なアンサンブルと、迫力に満ち満ちた音空間だった。 「イトウ」の轟音と、店の中での緊張感で、エルヴィンのドラミングや、ファレルのアドリブといった細かいプレイ内容についてまでは追いかけきれるわけもなく、ただ迫力ある音塊に圧倒されるままで終わってしまったが、なんて「イトウ」の雰囲気にピッタリとマッチしたアルバムなんだろうと思ったものだ。 後に、『プッティン・イット・トゥゲザー』を購入して、あらためて自宅で“小音量”で聴いて、ようやく、この迫力サウンドの輪郭を耳が掴めるようになった。 もちろん自宅では「イトウ」のような大音量は出せないけれども、聴いている頭の中では「イトウ」で感じた轟音の記憶が自動的に再現された状態で聴いているので、“心の中で感じる迫力(笑)”は満点。 とにかく、エルヴィンのドラムのスピード感と重たいウネリは凄い。 そして、ピアノレスの空白をまったく感じさせない、ジミー・ギャリソンのベースの太さにも唖然。 そして、メロディアスなジョー・ファレルのプレイにもご機嫌な気分だ。 エドゥ・ロボのボサノヴァ曲が、肉厚にパワーアップした《レザ》。 耳を澄ますと、まるでブラシの一本一本が生き物なのじゃないかと錯覚してしまうほど腰のあるブラシを聴ける《スイート・リトル・マイア》。 クレジットにはフルートとなっているが、高い音色から察するに、おそらくピッコロを吹いているんじゃないかと思われる<ケイコズ・バースデイ>は、ユーモラスなテーマとは裏腹に、バックで加速してゆくエルヴィンのスピード感溢れるドラムは、まるで、マッコイのピアノとギャリソンのベースが抜けたコルトレーンカルテットでのつばぜり合いを思い出す。 演奏の熱量がどんどんヒートアップしてゆく《ヴィレッジ・グリーン》。 ジミー・ヒース作曲の《ジンジャー・ブレッド・ボーイ》も、まさに彼らならではのサウンドに変貌を遂げている。 フルートによる《フォー・ヘブンス・セイク》は、よどみなく“歌”が溢れ出てきているファレルが素晴らしく、エキサイティングな演奏が続く中では良い息抜きの演奏となっている。 パワフル、濃密、エキサイティング。 このようなありきたりな修辞が、臆面もなく似合ってしまう力作が『プッティン・イット・トゥゲザー』だ。大音量が良く似合う。 エルヴィン、ブルーノートの初リーダー作。 |
| (2003/07/08) |
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