THE MONTREAL TAPES −CHARLIE HADEN,JOE HENDERSON, AL FOSTER TRIBUTE TO JOE HENDERSON (Verve) |
| - Charlie Haden |
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Charlie Haden (b) Joe Henderson (ts) Al Foster (ds) 1989/06/30 Festival International de Jazz de Montleal,Quebec,Canada |
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このテナーサックスの生々しい音色と迫力には、正直、かなりぶっ飛んだ。 《ラウンド・ミッドナイト》の冒頭をブリブリとサックス一本で豪快に吹き散らすジョー・ヘンダーソン。 無伴奏。 静まり返った会場の空気が手にとるように、音で伝わってくる。 鬼気迫るサックスソロだ。 尋常ではない熱量と気迫。 油断していると、いともたやすく攻撃的でドス黒いテナーに呑み込まれてしまいそうだ。 渾身のテナーソロの後、ヘイデンのベースの“ズーン!”と重い低音。 もう、これだけで、相当堪えます。タマランです。 迫真の名演。まさに、タイトルの“ミッドナイト”にふさわしいダークさ加減だ。 ヘイデンのベース、アル・フォスターのドラムが加わり、なお一層ハードボイルドなムードに拍車がかかる。 89年、カナダのモントリオール・ジャズ祭にチャーリー・ヘイデンが様々なジャズメンと共演した模様を収めたシリーズが『モントリオール・テープ』として、何枚も発売されているが、これは、ジョー・ヘンダーソンとの共演模様を収録したもの。 あまり期待しないで聴き始めただけに、しょっぱなの《ラウンド・ミッドナイト》でいきなりガツーン!とやられてしまった。 続く、《オール・ザ・シングズ・ユー・アー》。 アプローチは取り立てて斬新なことはやっていないが、ピアノレスという手を抜けないフォーマットなだけに、3人の演奏者は真剣そのもの。 聴きなれたオーソドックスなスタンダードなだけに、逆に演奏者の真価が問われるという、ある意味怖い曲でもあるが、20分近い長尺演奏だということを感じさせない、ジョー・ヘンダーソン、チャーリー・ヘイデン、アル・フォスターの演奏力は並々ならぬものがある。 さて、この2曲までが、おそらく彼らにとっては肩慣らしなのだろう。 スタンダード曲でで軽く(?)準備運動をし、いよいよ、《イン・ザ・モーメント》から真価発揮。 え?もう最初の2曲でお腹いっぱい? たしかに、最初の2曲の演奏も濃かったからね。そういう人は、無理して続けて聴こうとせずに、いったん休みましょう。 レコードで言えばA面を聴き終わったようなもの。続けてB面を聴くこともあるかもしれないが、片方の面を聴き終わったら、別のレコードに換えてしまうこともあるでしょ?それと同じ。 ただでさえ濃い内容なのだから、立て続けに集中して聴き続けることは、かなり精神を消耗する行為なのかもしれない。 しかも、《ラウンド・ミッドナイト》と《オール・ザ・シングズ・ユー・アー》の2曲だけでも合計時間は30分以上と、LP片面分の時間を優に超えているのだから。 よって、休憩してから再度トライするか、改めて別の日に聴いたほうが、本領発揮の《イン・ザ・モーメント》をじっくりと味わえるかもしれない。それぐらい、後半の内容は濃いし、気を抜けない。 だからといって、難解な演奏というわけではない。 ハードだが、聴き手が想像力をめぐらせるスペースはたっぷりとある。 なにより、即興の要素が大半を占めていると思われる《イン・ザ・モーメント》は、当の演奏者たちも、様々な想像と創造を繰り返しているのだから。 アップテンポのリズムにのった、簡素なテーマらしき吹奏が終了後、すぐに引き締まったリズムが拡散し、フリージャズ的な展開に。 気がつくと、いつのまにかヘイデンは弓弾きになっている。 ジョーヘンのグロウ。 グロウとは、唸りながらサックスを吹き濁った音を出す奏法だが、サックスから発せられる音よりも、ジョーヘンの喉が「ぐわぁ〜」と唸る音量のほうが大きいのが生々しい。 一度は拡散したリズムも、やがて型を整え、いつのまにか4ビートのステディなリズムに。ヘイデンもアルコからピチカートに戻る。 茫洋としたフレーズと、語尾をするどく畳み掛けるジョーヘン独特の語り口が良い具合にリズムとともに進んでゆく。 地を這うようなヘイデンのベースソロ。空間を溶ろやかすほどの、粘着質かつ、わざと焦点を暈したような曖昧な旋律と、音量の緩急。 ベースの音が消え入るようになればなるほど、こちらの緊張感が増し、テンポがたどたどしくなればなるほど、耳の集中力が増してくる。 聴かせ方を心得たソロの展開だ。 ほどなく、演奏に舞い戻ってくるジョーヘンのテナーとアル・フォスターのドラム。 しかし、演奏の方向性が示されないまま曖昧でくすぶった状態がしばらく続く。やがて、この状態が次第に焦点を結び、一つの大きなウネリに発展し、ラストのクライマックスにつながることは、なんとなく想像はつくのだが、その契機は一体いつ訪れるのだろうかと、ついつい耳をそばだててしまう。 契機となったのは、アルの細かいシンバルレガート。すぐに、ヘイデンのベースが4つを刻みアルのビートに追随する。 ヘンダーソンのテナーサックスもやがて一つの方向性に焦点を結びはじめ、やがて、メロディといっいいんだか、悪いんだかな、シンプルなテーマに戻ってストーン!と演奏終了。 ふーっ、あっというまの15分でした。 ラスト曲の《パスポート》は、《イン・ザ・モーメント》よりはいくぶんリラックスした演奏。 演奏時間が20分を超えて長めだが、これは後半のドラムソロが長いため。 このアルバムの締めくくりとして、あるいは、緊張感溢れる演奏が続いた反動か、あっさりとした演奏が楽しめると思う。 もっともリラックスして聴ける演奏なので、オススメ。 というよりも、このアルバムは4曲、すべてがオススメ! |
| (2004/11/25) |
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先日、四ツ谷のジャズ喫茶「いーぐる」で、「4ビート特集」をやらせてもらった。 テーマを決めてレコードやCDをかけ、それについて言葉で解説するという、この店名物の「特集」だ。 私はタイトルどおり4ビートの名手たちの名演をかけて、それについて解説をした。 リロイ・ヴィネガー、レイ・ブラウン、ポール・チェンバース…。 おなじみの、ベースの巨人たちの演奏を、店に集まった40人弱の方々たちに解説をした。 上記以外、まだまだ様々なベーシストの演奏をかけたが、その中にはもちろんチャーリー・ヘイデンも含めた。 『モントリオール・テープス』から《ラウンド・ミッドナイト》をかけて、彼の“低音の存在感”について解説した。主役のサックスがエグいだけに、サックスのほうに耳がいきがちだと思うが、よく聴くと、いや、よく聴かなくても気付かぬ間にヘイデンのベースの音もテナーサックスと同等に耳に張り付いているはずですよ、と。それだけ、ヘイデンのベースの存在感ってスゴいものがあるんですよ、と前振りをして《ラウンド・ミッドナイト》を流した。 この特集を終え、全体を振り返ったときに気がついた。 「ヘイデンが一番異色なベーシストだった」ということ。 一聴、特別変わったことをやっているわけではない。少ない音数で、堅実にジョー・ヘンを支えている…、と思いきや、たしかに支えてはいるのだが、支えると同時にすごい「主張」していることにも気がついた。 べつに、ヘンなカウンターメロディをいれて、ジョーヘンのサックスを邪魔しているわけではない。少なくとも、音符的にはフロントのサックスを邪魔しているわけではない。それなのに、妙な存在感がある。伴奏をしていることには違いないのだが、伴奏を超えた働きかけも同時に演奏全体におよぼしているのだ。 また音色自体も、ほかのベーシストの音域よりも1オクターブ下に聴こえてしまうほどの低いトーン。もちろん実際はそういうことはないのだが。 演奏といい、音域といい、不思議な存在感を放つヘイデンのベース。 この謎は解けそうで解けない謎として、今後の鑑賞の楽しみの一つとなりそうだ。 |
| (2005/05/29) |
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