ORIGINAL MOTION PICTURES SOUNDTRACK THA FABULOUS BAKER BOYS /恋のゆくえ〜ファビュラス・ベイカーボーイズ〜オリジナル・サウンドトラック (MCA Victor) |
| - Dave Grusin |
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#1,6,8-11 Dave Grusin (key) Sal Marquez (tp) Ernie Watts (sax) Lee Ritenour (g) Brian Bromberg (b) Hervey Mason (ds) #3,11 Michelle Pfeiffer (vo) #7 The Duke Ellington Orchestra #9 Benny Goodman Quartett #10 The Earl Palmer Trio 1989年 |
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日本でもかなり話題になった映画『ファビュラス・ベイカー・ボーイズ』、邦題『恋のゆくえ』。 この映画の良いところは、ハリウッド映画にありがちなハッピーエンドではないところ。 ニューイヤーを迎えるリゾートホテル。 大盛況のライブ、新年へのカウントダウン。 おそらくは、物語中盤のこのあたりがクライマックスだろう。 あとは人間関係がどんどんと修復不可能な方向に向かって空中分解してゆく。 ラストはなんとか物語のベクトルはわずかながらも前向きに向かうには向かうが、以前の状態のほうがまだマシだったよね、という状態で終わるところが、なんとも現実的で寂しい。だから好き(笑)。 ショービジネスの厳しさを目の当たりにすると同時に、ちょっとした成功で浮かれて、本来の自分自身を見失った途端、これまで時間をかけて築き上げてきたものがガラガラと崩れ落ちてしまう脆さを、ピアノ2台のデュオという珍しい編成の兄弟コンビと、彼ら2人のコンビニに加入した歌手、スージー・ダイヤモンド(ミシェル・ファイファー)が教えてくれるようだ。 私はこの映画のオープニングが大好きで、それこそ何度DVDで繰り返し見たことだろう。 場所はシアトル。主人公のジャックが、行きずりの女の家のベッドから起き上がり、ライブハウスへ向かう仕度をするシーン。そして、煙草片手に夕暮れのシアトルの街をバックに、演奏場所へ向かうシーン。その背後に流れる《メイン・タイトル(ジャックのテーマ)》。 冬の到来を予感させるシアトルの夕暮れを、サル・マーケズのミュートトランペットがクールに彩り、続いてアーニー・ワッツのサックスがエキサイティングに盛り上げる。 あたかも、マイルスとコルトレーンの対比がドラマティックな《ラウンド・ミッドナイト》を踏襲しつつも、それを大衆向けに安っぽくしたような構成ではあるが、これぐらいベタな音楽的演出のほうが、この場合はシーンとマッチしていて丁度良い。 完璧過ぎるほどにキマッている映画冒頭の「あのシーン」が好きな人は、きっと大勢いることと思う。 おそらくは、デイヴ・グルーシン奏でるシンセピアノの最初の4音だけで、映画を鑑賞したときの記憶が解凍され、思わせぶりなドラムのフィル・インを経て、空間を突き刺す物憂げなミュートトランペットの1音を聴いただけで、背筋がゾクッとくるのは、きっと私だけではないと思う。 また、急速調テンポの《ショップ・ティル・ユー・バップ》で聴けるブライアン・ブロンバーグのランニング・ベースもスリリングで、「ああ、あの出演前のドタバタのシーンのところに流れていた曲ね」と、記憶を解凍してくれる。 もっとも、映画を観ていない人には、純粋な鑑賞用のアルバムとしては、あまりオススメできない。 記憶の中の、「あの映像」「このシーン」があってこそ成立する音源、そう、あくまで記憶の解凍装置としてのサウンドトラックだからだ。 ミシェル・ファイファー自らが歌う《メイキン・ウーピー》も収録されているが、劇中では「おっ、けっこうイケてるじゃん」と感じたものの、やっぱり映像抜きの音だけの鑑賞は少し心もとない。 しかし、映画を見た記憶があれば、記憶の中の映像がそれを補完してくれるに違いない。 この映画が好きだ、DVDも持っている。だけども再生するのが面倒臭い。DVDをデッキに入れて立ち上がるのを待つ時間がまどろっこしい。すぐに、夕暮れのシアトルを闊歩するジャックのシーンを見たい、思い出したい、味わいたい。そういう面倒臭がりな私のような人にはオススメな音源ではある。 それ以外の方は、まずはとにもかくにもDVDで映画本編を鑑賞してみてください。 本編では、ピアノのデュオで演奏されるアップテンポの《イパネマの娘》がツボなのだが、サウンドトラックには収録されていなくて、残念。 |
| (2009/11/15) |
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