OUT OF NOWHERE (Muse Records)
- Sonny Criss

  1. All The Things You Are
  2. The Dreamer
  3. El Tiante
  4. My Ideal
  5. Out Of Nowhere
  6. Brother Can You Spare A Dime?
  7. The First One

Sonny Criss (as)
Dolo Coker (p)
Larry Gales (b)
Jimmie Smith (ds)

1975/10/20
時々ジャズのジャムセッションに参加している。
そこで気付くことは、ジャムセッションに参加している人たちは、楽器によって演奏したがる曲の傾向があるんじゃないかということ。

たとえば、トランペットの人は《アイル・クローズ・マイ・アイズ》や《バット・ノット・フォー・ミー》をやりたがる人が多いし、アルトサックスの人は《アウト・オブ・ノーホェア》を希望することが多い。

《アイル・クローズ・マイ・アイズ》は、もちろんブルー・ミッチェルの『ブルー・ムーズ』、「バット・ノット・フォー・ミー」は、たぶんマイルスの『バグズ・グルーヴ』での演奏が、トランペッターにとっての格好のお手本となっているのだろう。
また、アルトの人が演りたがる《アウト・オブ・ノーホェア》は、おそらくソニー・クリスのバージョンがお手本になっているんじゃないかと思う。

私は、サックスは吹けないが、もしアルトを吹けるのなら、ソニー・クリスのような《アウト・オブ・ノーホェア》を吹いてみたいと思うし、おそらく、多くのアルトサックス吹きもそう思っているんじゃないかと思う。

パーカーやコニッツなど、他のアルトの名手も素晴らしい演奏を残してはいる。
しかし、明快で潔い点、竹を割ったように素直でストレートな演奏は、何はさておいてもソニー・クリスの《アウト・オブ・ノーホェア》が光っていると思う。

ジャケットの青い色のように澄み渡ったクリスの《アウト・オブ・ノーホェア》を聴くと、本当に胸のすく思いがする。
爽やか。
しかし、薄っぺらな爽やかさとは違う深みもある。

渋めのドロ・コカーのイントロとバッキングも良いし、ラリー・ゲイルズの弾んで勢いのあるベースも心地よい。ちょっと音量が大きすぎるような気もするが…。

フュージョン華やかりし時代に、頑固一徹、4ビートにこだわった快心の力演という触れ込みで買ったアルバムだが、まさにその通りの熱演だと思う。

一曲目の《オール・ザ・シングズ・ユー・アー》から快調に飛ばすクリスのアルトには、迷いがまったく無い。
二曲目のブルースからも、それは顕著に感じられる。直球勝負だ。

クリスのアルトは、チャーリー・パーカーに似ていながら、パーカーよりも、より明快なプレイスタイルと、少し音質は軽いものの、親しみやすさと思い 切りの良さがある。
そして、そんな彼のプレイには、ジャズのエッセンスが凝縮されているので、気張らずに聴ける上に、内容も濃い。

私は特に、ラストの《ザ・ファースト・ワン》が好きだ。
これは、ロリンズの《オレオ》や、パーカーの《アンスロポロジー》、あるいはモンクの「リズマニング」などと同じく《アイ・ガット・リズム》のコード進行を元にした、ジャムセッションでよく演奏される、いわゆる「循環モノ」と呼ばれている進行の曲だが、明快で歯切れの良いテーマと、小気味の良いアドリブはとても気持ちが良いし、次から次へと繰り出す明快なアドリブ・ラインは、楽器をやっている人にとっては、優れた「循環モノ」の教科書になるんじゃないかと思う。

クリス16枚目のリーダーアルバム。
この吹き込みの2年後に彼は拳銃自殺を遂げている。
もっとも、彼の母親は、拳銃自殺する人間が腹を撃つわけがない、女のしわざに違いないと言っているそうだが…。
来日公演の1週間前のことだった。

(2002/07/23) 


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