THIS TIME THE DREAM'S ON ME CHET BAKER QUARTET LIVE VOLUME 1 (Pacific Jazz) |
| -Chet Baker |
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Chet Baker (tp) Russ Freeman (p) Carson Smith (b) Larry Bunker (ds) #1-5 Bob Neel (ds) #6-14 #1-5 1953/08/12 (Carlton Theater in LA) #6-14 1954/05/09 (Masonic Temple,Jazz At Ann Arbor) |
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チェット・ベイカー・カルテットによるライヴ盤の『ジャズ・アット・アン・アーバー』に、未発表音源が追加されたおトク盤。輸入盤だと千円しないので、これはかなりお買い得だ。 スムースなフィーリングでマイペースに“歌う”チェットのトランペットは、当時、マイルスをはじめとしたイーストコーストの連中からは「ニセモノ」、「実力ないくせに人気だけは一人前」などと辛辣に揶揄されていたし、当のチェット本人も人気投票では1位なものの、実力の面では、イーストコーストの黒人ジャズマンたちにの足もとにも及ばないことはよく自覚していた。 しかし、誰が上、誰が下といった上下争いとは無関係なところで、チェットのサウンドはやはりチェット独自のもの。 巧い、下手、ジャンキー、非ジャンキーを超えたところで、なにかこちらの耳を惹きつけてやまないものがある。 これは恐らく天性のものではあるまいか。 生涯通じた彼の演奏スタイルは、持って生まれた気質なのだろうか、全力投球で演奏に立ち向かうといったこととは無縁で、常にどこか投げやりで最後の最後まで根(こん)を詰めない緩さが立ち込める。 そこがまたチェットの魅力であり、多くの聴衆、とくに気だるさやアンニュイさを前向きに評価するヨーロッパ方面では晩年まで支持されたのだろう。 さすがに晩年の演奏とは違い、若き日のベーカーの演奏にはもっとハリがあるにはある。 先日、番組にフリューゲルホーン奏者&ヴォーカリストのTOKU氏をお招きしてチェットに関しての話を色々と伺ったところ、「チェットはリズム感がいい」と仰っていたが、たしかに、《オール・ザ・シングズ・ユー・アー》などアップテンポの曲の歯切れの良さ、ノリの良さは、その言葉を裏付けている。 しかし、改めて聴きなおしてみると、溌剌とした演奏の中からも、晩年の多くの演奏に漂う倦怠感や諦め感のようなものが既に漂っていることに驚く。 既に若き日から、彼は少しずつ何かを少しずつ失い続け、その代償として誰もが真似のできない(真似のしようがない)妖艶かつ深遠な境地に辿りついたのかもしれない。 《オール・ザ・シングズ・ユー・アー》にしろ《ステラ・バイ・スターライト》や《マイ・ファニー・ヴァレンタイン》にしろ、テンポや曲調とは無関係に、この時期のチェットのトランペットには、溌剌さと退廃さが微妙なさじ加減でブレンドされており、醒めてもいないが蕩けてもいないという、微妙な中間地点を不思議な味わいと余韻をふりまく。 この、なんとも言えぬ気分は、青と黒のジャケ写が代弁しているかのよう。 生き生きとしていつつも、どこか気だるい。 そんなチェットの魅力を“分かっている”人には、是非コレクションに加えて欲しい1枚だ。 |
| (2007/08/02) |
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