NIGHTINGALE (somethin' else)
- George Adams

  1. Bridge Over Troubled Water
  2. What A Wonderful World
  3. Cry Me A River
  4. A Nightingale Sang In Berkeley Square
  5. Moon River
  6. Precious Lord,Take My Hand
  7. Ol' Man River
  8. Going Home

George Adams (ts,ss,fl)
Hugh Lawson (p)
Sirone (b)
Vicror Lewis (ds)

1988/08/19&20
日本人向けアダムスは敬遠していたが、敬遠していたほど悪い内容でもない。これが、最近のこのアルバムに対する私の認識。

サイモン&ガーファンクルの《明日に架ける橋》、サッチモの《この素晴らしき世界》、しんみりとした佳曲《バークリー広場のナイチンゲール》、ヘンリー・マンシーニの《ムーン・リヴァー》、そして、極めつけは、ドヴォルザークの《ゴーイング・ホーム(家路)》…。

あのジョージ・アダムスが、この選曲ですかい?!

ま、《ゴーイング・ホーム(家路)》は、アルバート・アイラーも演っているから分からないこともないけれども…。

それにしても匂う、匂い過ぎだ。
有名曲のオンパレードで、「売らんかな」な商売っ気、それも日本人に向けての売らんかな根性が見えすぎだぜぃ!と、発売当時は、「なんじゃこりゃ」状態で敬遠していた私。

というか、つい最近まで敬遠してましたですよ。
最近はバラードばかり吹いているファラオ・サンダースみたいじゃないかって。

あまりにも“芸風”が違いすぎるのだ。
フリーキーかつパワフルにブリブリに吹きまくって、ブギャー!と迫力で迫っていたテナーオジさんが、いきなり旋律の美しい曲や、ヒット曲ばかりを演奏しているんだもの。

ヤクザの悪役専門の俳優が、いきなり純愛映画の主演に転身するだけのインパクトだ。

しかも、クレジットを見ると、「やはり!」 。
カバー写真や、エンジニアや、ディレクターのクレジットには日本人の名が…。

なるほど。いや、やはり。
日本人主導の企画だったわけね。主なマーケットもターゲットも日本や日本人なのでしょう。

それだけでも、色眼鏡でこの盤を見てしまう条件は充分。
だから、聴く気もしなかったし、実際聴いていなかった。

あ、もしかしたら、バイト先のジャズ喫茶で、視聴盤を何度か耳にしたのかもしれないが、仮にそうだとしても、耳に残らなかったし、「けっ!」って気持ちで聴いていたのだと思う。

ところが最近CD棚の隅っこにこのアルバムが眠っているのを発見。
どういうイキサツで手に入れたのかは忘れたが、なんとなく「聴いてみっか」という軽い気持ちで聴いてみた。

悪くない。

有名曲を前に、まったくの物怖じをせずに、あくまで自分のペースで肩を抜いたプレイをするアダムス。

スケールの大きな吹奏は、修羅場を潜り抜けてきた貫禄か。

余力をたっぷりと残しながらも、テーマの部分は抑え気味に原曲のメロディを大きな崩しは見せずに吹いている。

しかし、感極まると、「やはり、出たぁ!」な、フリークトーン。
おそらくは、半ば意図的に、出す場所を漠然とながらも計算をしながら吹いているのだろうが、やはり、これが出ると、ちょっとだけ嬉しくなってしまう私。

こう書くと、まるで「ジョージ・アダムスは、フリークトーンの人」というような色眼鏡で見ているように思われてしまうけれども、ハイ、否定はしません。

やっぱり、ドン・ピューレンと演っている『アース・ビームス』などの印象が強い人なのです、私にとっては。

しかし、今回、再聴して再発見。

「この人、いいテナーの音色しているわ」ってこと。

フリークトーンとかじゃなくて、普通に、ごく真っ当にメロディを吹いているときの音色が、とても太くて艶やか。逞しい上に、男の色気を感る。

ブルースだろうが、
スタンダードだろうが、
フリーだろうが、
クラシックだろうが、
ポップスナンバーだろうが、
彼にとって大事なのは、題材ではなく、いかに演奏にソウルを封じ込められるか、これにつきるのでしょう。

というわけで、誰もが知っている有名曲を、男っぽい太いテナーの音で聴いてみたい人には、おススメ。

ジャズファン以外の人も、気軽に聴け、手軽にムードに浸れると思う。

(2005/11/30) 


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