ENCOUNTER! (Prestige) |
| -Pepper Adams |
|
|
Pepper Adams (bs) Zoot Sims (ts) Tommy Flanagan (p) Ron Carter (b) Elvin Jones (ds) 1968/12/11-12 |
|
|
|
ペッパー・アダムスのバリトンサックスの音色と、ズート・シムズのテナーサックスの音色とが絶妙に溶け合い、フロントの音色の魅力だけでも聴けてしまう1枚。 2曲目の《スタークロスド・ラヴァーズ》を聴いてみよう。 曲自体は何の変哲もないスローテンポのバラードだが、暖かい音で朗々と旋律を“歌う”ズートと、伸びやかなロングトーンでズートの“歌”をサポートするペッパー・アダムスのバリトンによる音色のブレンドが見事。 次いで2人がユニゾンで複雑なテーマを奏でる《エリューシヴ》も見事なタイミングの一致で、まるで、ローランド・カークが1人で2本のサックスを吹いているような、ブレのない見事な一体感を味わえる。 アダムスとズートの2人が思い描く音のイメージがピッタリと一致しているからこそ生み出せる高密度なアンサンブルだ。 ペッパー・アダムスは、バリトンをブリブリと吹きまくりのイメージの強い人だ。もちろん、このアルバムでも、アダムスは元気にブリブリと吹きまくっていることはたしか。 しかし、他の諸作と違うところは、おのれのプレイはもちろんのこと、リーダーならではの目配り、いや、音配りにも神経を費やしているところだ。 つまり、メンバーには最大限な自由を保障しながらも、特にテーマ部においてのアンサンブルの充実に腐心している形跡が随所に認められ、そこが単なる豪華メンバーが集結しただけのジャムセッション的な内容に終わっていない「飽きのこない魅力」の根源なのだろう。 よって、それがズート・シムズのテナーサックスはもとより、リズム隊にも良い結果をもたらし、節度と自由度がバランス良く共存した聴きやすい内容に仕上がっている。 エネルギッシュながら引きもわきまえたエルヴィンのドラミングに、堅実にボトムを支えるロン・カーターのベースも良い。 この2人が予想以上に良いリズムコンビネーションを生みだしている。 とくにロンの奇をてらわない堅実なベースはいいねぇ。 深く沈みこむような、静かで深いグルーヴ感がある。 ピアノは名脇役、トミー・フラナガン。 盛り上げるところは、かなりピアノで煽りつつも、決してフロントを喰わない礼節をわきまえたピアノは相変わらず匠の技だ。 この3人が作り出す立体的で色彩豊かなリズムに乗って、おおらかに、まるで大きな円を描くような吹奏を全編に渡って繰り広げるペッパー・アダムスとズート・シムズ。 先述のとおり、この二人のコンビネーションは、特筆に値する。 音のアタック感はゴツゴツとしていながら、そのくせフレージングは驚くほど流麗なペッパー・アダムスのバリトンサックス。音色の逞しさと、印象的なフレーズの相乗効果で、耳をひきつけてやまない。 円やかで流麗なプレイが持ち味のズートも、このアルバムではアダムスの鋭角的フレーズ感覚が乗り移ったのだろうか、なかなかにアグレッシヴで尖った一面をのぞかせ、まるでアダムスと双生児のごとく息の合ったプレイを見せる。 いつもと違う鋭角的な魅力を放つ“カッコいいズート”を味わえるのもこのアルバムならではだ。 アダムスにおいては、ソフトな一面をのぞかせる演奏もある。 ミディアム・スロウのテンポに乗り、自由にメリハリのあるアドリブを奏でる《アイヴ・ジャズト・シーン・ハー》のプレイは白眉。 ペッパー・アダムスのタフだが優しい一面が垣間見れる優れた演奏の1つにカウントしたい。 後半にボルテージが上がってきたところで、すかさず演奏のダイナミクスを自然に上げる方向に持ってゆこうとするフラナガンの「仕掛ける」ピアノも見事だ。 渋いバラードから、エルヴィンのドラムが大暴れするラストの《ヴェルダンディ》まで、最後まで一瞬たりとも耳を離せない、魅力たっぷりの1枚だ。 もちろん、ペッパー・アダムスのアルバムの中では、私はこれが一番フェイヴァリット。 |
| (2007/09/21) |
|
|
|
|
All Rights Reserved. |